ソ・ラ・ノ・ヲ・トが、すこなんだ。
『クソじゃないアニメ Advent Calendar 2019』 22日目
こんにちは
こんにちは(はじめまして?)、くっきーと申します。“アドベントカレンダー”に参加するのも初めてで右も左も分かりませんが、よろしくおねがいします。
「好きなアニメは?」と聞かれたらとりあえずCCさくらと答える私です。
豪華な制作陣、まあまあよくできたストーリー、にもかかわらずあまり話題にならなかったアニメ・・・・・「ソ・ラ・ノ・ヲ・ト」について、クチャクチャと書いていこうと思います。
警告
本製品は18歳未満の方はプレイすることができません。
本稿の内容はフィクションです。
登場する人物名・団体名は実際のモノとは一切関係がありません。
本稿の内容は全て筆者の偏見に基づいています。怒らないでください。
作品の概要
───音は必ず響く。必ず響いて・・・・・・そして伝わる
概要を確認しようとしてアニメHPにアクセスしたら、コンテンツが全部Flashだったのでブチギレそうになりましたが、書くと言った以上は書きます。やっぱクソアニメや・・・
「ソ・ラ・ノ・ヲ・ト」は2010年に放送されたオリジナルテレビアニメで、テレ東とアニプレックスが結託した「アニメノチカラ」とかいうプロジェクトの第一弾です。
んで、制作はA-1 Picturesだったわけですが・・・・・・待って!閉じないで!最後まで読んで!
まあA-1制作なんですけど、監督が神戸守、脚本/シリーズ構成が吉田弘幸、キャラクター原案が岸田メル、あとガンダム0083とか08MS小隊でメカデザを担当した石垣純哉もメカニックデザインで入っています。
・・・とまあ、かなり豪華な制作陣なんですね。
OPがKalafina、EDが戸松遥、メインキャストも一軍。カタログスペックが最強なオリジナル作品はよくコケますよね。本作もその例に漏れず・・・・・・。
近年は“隠れた名作”みたいな扱いも一部でされているようですが、まあ極端な評価がくだされがちです。
作品のあらすじ
時代設定は未来。大戦争によって荒廃したセカイでは、私らの知る国や言語、テクノロジーが消滅していて、世界情勢も人種も私らの知るそれとは大きく異なっていた。
そんなセカイで喇叭手になろうと陸軍に入隊した主人公・カナタは無人地帯に隣接する辺境地に配属される。
ここに駐屯する第1121小隊は戦略的に重視されていないためか、女性兵士5名と故障した多脚戦車しか無く、規律もゆるい。
物語はそんなセカイで1121小隊の少女たちの日常と成長を描きつつ、彼女らの過去や伏せられていたセカイの様相、悪化していく国際情勢などについても明かされていく。
な感じです。
女の子がキャピキャピするわけでも軍ヲタ向けというわけでもなく、独特な雰囲気と人間性を重視した作品です。
当時の評価
『クウキヨメヨー』ってご存知ですか・・・?知らないですかそうですか。まあ後述します。
後述するキャラデザの問題があり印象が悪かったこと、上にもサラッと書きましたが、萌えヲタ向けでも軍ヲタ向けでもなかった(ターゲット層が曖昧だった)点などから、そもそも注目されなかったり、視聴者の間でも評価が別れたりしました。悲しい。
ただ、番組外のネタは多い作品で、その中でも特筆すべきは上で触れた『クウキヨメヨー』なんです。
『クウキヨメヨー』とは、“GREEのCMで出演しているデーブ・スペクターが放った言葉”(ニコニコ大百科より)
なのですが、このCMがなんと最終話の放送時に合計14回、AパートとBパートの間から8回連続で流れるという事件があり、話題になったのでした。
まさにエンドレスエイト。最終話かっこよかったのに、クウキヨメヨー・・・。
その様子、ニコ動とかで観られるらしいです。
キャラデザの問題
んで、先程挙げたキャラデザの問題についてです。
概要んとこにキャラクター原案が岸田メル先生だと書きました。その原案時点のイラストがコチラです↓
↑岸田メル先生によるキービジュアル(クリックして元リンクへ)
んで、テレビアニメとしてのキャラクターデザインがコチラです↓
↑主人公「空深 彼方」のキャラクターデザイン(クリックして元リンクへ)
言いたいこと、分かりますよね。そういうことです。
当時は「けいおん!顔だ」と散々に言われていましたが、そういうわけでも無いと思います。
しかし、A-1が品質を担保するためにやりがちな[出典を明記してください]作画コストの低い絵柄に落ち着かせるのであれば、メル先生がキャラクター原案をした意味があるの・・・?と思わずにはいられません。
アニメーションの問題
脱線します。この項は読み飛ばしてください。
世間様は「A-1は作画がいい」と言います。私はそうは思いません。
そもそも、「作画がいい」という曖昧模糊とした表現が気に入りません。
テレビアニメで言う「作画がいい」って何でしょう。特殊効果?撮影?演出の腕?構図?画の“動き”?まあそれらを総合した『パッと見たときの見栄え』を「作画の良さ」として表現してることが多いんでしょう。
先程のキャラデザの件で、特報を見た人に「京アニはいつから『けいおん!』みたいな顔しか描けなくなったんだ」みたいなコトを書き込んでた人がいました。
言うまでもなく、本作に京都アニメーションは一切関与していません。私には全く理解できませんが、「パッと見た」印象だけで判断し、京アニとA-1の区別もつかないような方は一定数います。
これも言うまでもありませんが、両者の技量は動画のレベルから全く違います。
「神は細部に宿る」という言葉があります。ディテールを凝れという事ではなく、『本当に素晴らしい技術やこだわりとは、一見して分かりにくい』という意味です。
良い作品とは、莫大な予算をかけることでも最強の制作陣を集めることでもなく、まず丁寧に作ることによって生まれます。
『丁寧に作る』ことは『精密に描きこむ』こととも異なります。クオリティを担保するために敢えて情報量を落とすこともまた、『丁寧に作ること』の一環になり得ます。
私が思う『出来が悪い作品』に限って、中途半端に情報量を増やしたり特殊効果で殴ってみたり、彩度マシマシだったりします。
本作は見せ場に於いては頑張って描写されていますが、全体を通してみれば、“動画は”大したクオリティではありませんし、所謂“作画崩壊”とも取れるカットも探せばかなり出てくるでしょう。
しかし、作中の演出自体は見事なものですし、背景美術も素晴らしく、作品全体の雰囲気(サブカルクソ女とかが言いがちな“世界観”ってヤツ)を表現しています。
じゃあなにがいいの
第8話、おしっこ回。
まず表面的なところから入れば、楽曲です。
OP曲であるKalafinaの「光の旋律」は私が本作を見るキッカケにもなった曲で、フルートが美しく、切ないメロディの綺麗な曲。
ED曲の戸松遥の「Girls, Be Ambitious.」はOP曲とは対照的に前向きで元気な曲。
そして、大島ミチルによる音楽が作品世界全体を引き立てています。
個々のストーリーは一話完結ですが、尺が押してはいるけれどそれなりにテンポが良い展開と、舞台である町の中で紡がれる人間性を重んじたストーリー。
その中で、最終話に向けて少しずつ本筋のストーリーが動いていて、最後に一気に畳み掛けて伏線が回収される。
戦乱の緊張感と少女たちの儚い日常。この対比が新鮮でした。
ロストテクノロジーの塊みたいな多脚戦車が最終話になって動くのはアツすぎるし、過度に反戦意識を前面に出しているわけではなく、護るための武力と積極的で利己的な攻撃を分けて描いていたのも大変良かった。
最終話は「ご都合主義的」とも言われましたが、DVD/BD特典の第13話でしっかり補完されました。
メッセージ性
あんま言うとネタバレになっちゃうんだけどね・・・
「後世に出来事を伝えること」これが本作の大きなテーマだと思っています。人から人へ、伝わる途中で内容に変化が生じていたとしても、歴史や伝承に思いを馳せ、考え、行動し、自分たちもまた後世に伝えていく。
世界の実態を明かし、“終わり”が近づいている世界での少女たちの夢を描く。これが成されているのが13話、『空の音・夢ノ彼方』です。
結論
深夜アニメとしてはかなり変わった部類で、新鮮な作品だったと思います。ネガキャンのせいもあり正当な評価を受けられていないとも思いますが、やはり人を選ぶ作品であることに間違いはありません。
他作品を引き合いに出すようなことはしません。日常系とも軍事モノともつかない物語ですし、最後まで見ないと意味がない作品です。
良い意味での『雰囲気アニメ』です。観て損はないと思います。是非。
視聴はコチラから!(ステマではない)
布教ついでにそれっぽいサービスの直リンク貼っときますね。是非見ちゃってください
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